WEMEXストーリー1 遠隔医療 ソリューション

遠隔医療システム社会実装に向けたプロジェクトチームを立ち上げ、現在、日本が直面している医療領域における社会課題の解決に取り組んでいます。ここでは、そのプロジェクトの概要、および実際に直面している課題や未来への展望について紹介します。

専門医のスキルを全国に届けるリアルタイム遠隔医療システム

WEMEXでは、医療従事者同士をオンラインでつなぐ、リモート操作が可能なリアルタイム遠隔医療システムであるTeladoc HEALTHの提供を2021年12月に開始しました。

「あらゆる現場で、いつでも簡単につながる安心を」をコンセプトに、専門医の少ない医療機関と遠隔地の専門医とをオンラインでつなぐことによって新しい医療の形を実現し、遠隔医療を通じて医療領域における社会的課題の解決に取り組んでいきたいと考えています。

プロジェクト誕生に込められた想い

日本の医療は全国民が公的医療保険によって保障されています。そのため、一見いつでも診察を受けることができる環境が整っているように感じてしまいますが、実際には多くの課題を抱えています。

例えば、都心部とへき地の医療環境について。
都心部とその周辺には医師や病院、クリニックが多く存在していますが、へき地といわれるエリアは深刻な医師不足、医療を提供する環境不足に悩まされています。そのため、へき地に住む人々は都心部と同等の様々な選択肢をもって医療を受けることができず、大きな問題となっています。

へき地の事例は、あくまで一側面でしかありませんが、こうした背景をもとに、患者さんがどのような環境や地域にいても、均質な医療を受けられる環境を作り出したいという思いから生まれたのが遠隔医療プロジェクトです。

過疎地と周産期医療が抱える問題への取り組み

高齢化が進んでいる過疎地では、交通の便が悪く、冬は雪が深いなど移動手段に困難が伴う場合が多いといわれています。そのため病院に行きたいけど行けない、その結果、症状の悪化や再入院、最悪の場合には手遅れとなってしまうケースも出てきています。

そこでWEMEXでは、へき地や離島にてTeladoc HEALTHを活用した遠隔診療を実施。これにより自宅から離れた病院に行くことなく、医師の診察を受けることができるようになりました。

また、産科医不足により、安心して出産をすることができない地域が増加しているという現状があります。この問題解決のため、医師と妊婦を遠隔医療システムでつなぐことによって改善を試みる取り組みを始めました。出生直後の新生児の医療的処置には、新生児科医師によるサポートが必要となるのですが、分娩を行う医療施設に新生児科医師が在籍していないケースも多く存在しています。そのような状況下において、危険な状態で産まれてきた赤ちゃんが、弊社が提供する遠隔医療システムにより新生児科の医師の的確なサポートを受けることができたという事例なども出始めています。

プロジェクトが直面している課題と解決への道

遠隔医療の社会的役割は、へき地医療や周産期医療などにおける課題の解決、災害医療における医療支援の提供などにとどまることなく、多岐にわたって存在しています。

こうした中、遠隔医療を更に世の中に浸透させていくためには、この仕組みを理解いただき、同じ想いを持って共に歩んでいただける医師を増やさなくてはなりません。しかし、プロジェクトを進める中で気付かされたことは、患者さんの命を守る立場である医師にとって、医療を提供する方法を変えることは非常に大きなチャレンジであり、慎重な判断が求められているということです。

そこで私たちは、医師の研究内容・活動内容に遠隔医療との親和性が見られる場合には直接医師にアプローチをし、遠隔医療がもたらす未来の医療・社会課題解決について意見交換をしながら、活用事例の構築・活用の効果・エビデンスなどをまとめ、一歩一歩前に進めていくよう試みています。

最近では、遠隔医療推進の輪が広がっていき、さらにエビデンスが増えることによって、そのスピードが加速しつつあります。
このプロジェクトはまだ始まったばかりですが、社会課題解決の一助になると確信しているこのシステムが広く社会実装されることを目指し、チーム一丸となって、努力し続けていきたいと考えています。

遠隔医療が創り出す新たな医療の未来予想図

近年ではコロナ禍による影響もあり、手術室に入る人数が制限され、若手医師がベテラン医師の技術を直接見ることができる機会が減っていると耳にすることがあります。そういった場面においても、若手医師が手技やスキルを体得し、技術を向上するために遠隔医療システムが活用されることを期待しています。

また、遠隔医療によって世界中がつながれば、さらなる医療革新を起こすことができる可能性も考えられます。例えば、周産期医療が遅れている東南アジアでは新生児が出産直後に亡くなってしまうといった事例が多くあります。遠隔医療システムを活用すれば、こうした問題を大幅に軽減することができるのではと考えています。
遠い未来の話かもしれませんが、いつか月面に人が住み始めたら、宇宙に住む人々の医療サポートも遠隔医療が担うかもしれません。

このように、遠隔医療を世の中に届けるこの仕事は、未来の医療の形を作り上げる夢のある仕事だと思っています。これからもプロジェクトメンバー一丸となって、より一層の遠隔医療システムの普及に努めていきます。

  • 2024年2月時点
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